幼なじみくんの本気は危険です!
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「向葵、落ち着いた?」
中学時代のことを思い出していた私は、いつの間にか泣き止んでいたみたいで。
悠真の心配そうな声が聞こえて顔を上げる。
「……うん、ありがとう」
少し視線を下に下げると、悠真のシャツは私の涙でべちょべちょに濡れていた。
なんだか申し訳なくなって、眉を下げてもう一度悠真を見ると、
「……わざとやってんの?その顔」
悠真は少し呆れた顔をして、私から目をそらした。
「意味わかんない」
「わかんなくていーよ」
それだけ言って立ち上がった悠真。
結局、何が言いたかったの?
気になったけど、悠真はそれ以上話してくれなかった。
「……さ、そろそろ授業に戻るか。向葵も大丈夫そうだし」
「そうだね。あれから結構経ったから、女子たちの怒りもおさまってる頃だと思う」
ていうか、そうなってもらわなきゃ困るかな。
「俺もアイツらには注意しとこ。地味男の俺だったら、すぐにいじめられるから」
悠真はメガネをかけ前髪をボサボサにすると、イケメンの面影が全くない姿になった。
私もそれにならって身支度を整えると、悠真と屋上を後にした。