幼なじみくんの本気は危険です!
「新橋さん、今の会話聞こえてたよね?実際はどうなのー?あの地味男と付き合ってるの?」
女子たちのリーダー、永野亜弥が悪魔のような笑みを浮かべる。
後ろにいる他の女子も同じように、にやにやと笑っていた。
「え、と……私と瀬名くんは、永野さんたちが思ってるような関係じゃ、ありません……」
地味な格好に合わせて、控えめな性格の私を演じる。
そんな私を、永野さんは獲物を見つけた猛獣のような目で見つめた。
「へぇ?紗友(さゆ)がアンタたちが一緒にいるの、よく見かけるって言ってるけど」
「そ、それは……」
永野さんの隣にいる女帝グループの一人、富田紗友がうんうんと頷いた。
な、なんて言い訳しよう。
私たちが一緒にいるのは本当だから、ごまかそうにもごまかせないし……。
返答に困っていると、教室のドアが開く音がした。
反射的に音がした方を向くと、クラス委員の鏑木爽(かぶらぎそう)くんが立っていた。
一度しか喋ったことはないけど、イケメンで優しくて頼れる人気者ということは知ってる。