幼なじみくんの本気は危険です!
チラッと優月を見ると、顔を歪めて悲しそうにしていた。
私は言われ慣れてるからいいけど、優月はそうじゃない。
クラスでは地味な方かもしれないけど、私みたいにいじめられてるわけじゃないから、派手な永野さんたちに悪口言われたら気にするよね。
これは早急に対策を考えないといけないな。
「優月、こういうのは気にしない方がいいよ」
優月の耳元に口を寄せてそう言うと、
「わ、私のことを言われるだけなら大丈夫なの!ただ、向葵ちゃんが悪口言われるのがすごく嫌なだけ……」
彼女はすごくつらそうな顔をした。
う、嬉しい……。
まさか私のことを気にしてくれていたなんて思ってもなかったから。
優月が友達でよかったと、このとき心底そう思った。
幸せを噛み締めているとき、悠真がこっちを心配そうな目で見ていたことに私は気づかなかった。
帰りのホームルームが終わり、辺りはガヤガヤと騒がしくなる。
永野さんたちに目をつけられないうちにさっさと帰ろう……。
そう思った私は急いで荷物をまとめる。
すると机の横に誰かの気配を感じ、反射的に顔を上げると、
「悠真?」
長い前髪で顔が隠れた、地味男の悠真が立っていた。