幼なじみくんの本気は危険です!
「悠真だって自分の容姿は自覚済みでしょ」
「まぁね」
長い前髪を鬱陶しく思ったのか、髪を少し掻き分けた悠真。
そうしたことによって、よく見えるようになった整った顔に、少しだけドキッとした。
誰が見てもイケメンだっていうこの顔は、不意打ちに現れると見慣れた私だって驚く。
「向葵も今だけはその格好やめたら?三つ編み、キツそう」
「そうしたいんだけど、結び直すのめんどくさいから」
「残念。向葵の可愛い顔見れると思ったのに」
「見飽きてるでしょ、悠真は」
……だいたい、私の顔なんて見たくもないはず。
それほど、悠真にとって私は嫌な存在なんだから。
これは、私が悠真を巻き込んでしまってから溜め込んできた思い。
でも改めてそう思うとなんだか悲しくなってきた。
「……向葵?」
様子がおかしい私に気づいた悠真は、こんな私にも優しく声をかけてくれる。
だけど、その優しさが今はものすごく辛かった。