【完】Mrionation
そんなランチタイムを終え、午後の仕事はキツかった。
なんせ、時期外れに異動してきた後輩は使えないし、更には上司も有能とは全く言えないし……。
私の前に置かれたカートに次から次へと置かれる書類の、山、山、山…。
発狂しそうになるのを必死で堪えて、ダカダカとキーパンチを繰り返す。
ほんと、誰か隣の課の有能な井上課長とうちの吉田を変えてやって下さいよ……。
そう思いつつ、ウィーンウィーンと作った書類をコピーしてホチキスで何部かまとめていく。
この職について、もう8年目。
スケジューリングを組んだり、メーラー開いてあれこれ細かく捌いたり、やることが多いから、嫌な過去も忘れることが出来る。
それは元カレのこともそう。
前職のこともそう。
昔から何かと内弁慶で引っ込み思案な所があった私。
自分の意見を人に言うことが苦手で、言わば要領が悪い。
だから、前職では散々な人間関係の中で、耐えきれなくなって体を壊した。
元カレの件だって、向こうの押しの強さに負けて付き合い出して、結局受け入れられなくなって…別れた。
だから、今のこの環境は、私にとってはとても有り難い。
嫌なこと全て、ぶつけることが出来るから…。
嫌なこと全て、忘れることが出来るから…。