【完】Mrionation


それに私は、当時…付き合ってる人がいる状態。
けれどその彼は年下の、いわば最低最悪の甘えた男…更にはストーカー並みの執着男だったから、私の心の世界は狭く疲弊しきっていた。


早く世界が終わらないかな…。


仕事の帰り道にそう思うことが多かった。
何故ならば…彼の執着が徐々に酷くなって行っていたから。

ほんの少し会わない日には、電話が数分置きに掛かってくる。
どんな服を着て、どんな人と会って、何をどう過ごしているのか…いちいち詳細を聞いてきて、こっちが苛立ちを見せると猫撫で声で甘えてくる。

挙げ句の果てに、独り暮らしをしていた部屋まで転がり込んで来て無理矢理の半同棲。
それが嫌で追い出すと、半ギレでどんな時間でも自分の会いたい時に私が迎え入れるまでピンポン連打。
逃げ出すように実家に帰れば、そこまで執拗に付いてくる。

暴力まで振るわれなかったものの、心は深淵に沈んで行った。
吐き気や目眩が酷くなり、食欲不振になって体重も減った。
そんな私のあまりの変わりように、流石の両親も心配してくれて、警察沙汰一歩手前のすったもんだの果てに、もう二度と会わない約束を交わし、別れることになった。



なんで私ばかりこんなことに。
もう、二度と恋愛なんて…。
そう思って…実家の自室で一人、一晩中泣いたことを今でも鮮明に覚えてる。



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