【完】Mrionation
いつもと同じ、柔らかな視線と温かな気遣い。
薄い隈を作っていった日には、ホットアイマスクをそっと手渡され。
なんとなく、ため息を一つ吐くと、こんな風に声を掛けてくる。
「志野ー…お前ちゃんとメシ食ってる?」
「食べてなきゃこんな体型にはなりませんよ」
太めの自分の体型を隠すように、デスクに帰るとその後ろから視線とこんな言葉を投げられた。
「そーぉ?俺的にはいいと思うんけどねぇ?グラマラスで」
「…っ!すけべ!」
「だって俺、男の子だもーん」
私の事情は、早くもウワサになっていて、知らないはずがないのに、余計なことはけして言ってこない。
それにどんなに救われたことか……。
この人は多分、分かってない。
多分…無自覚的に…本能でそうなるんだろう。