【完】Mrionation
でも…それとは別の感情…。
これは、ある意味本能なのかもしれないけれど…人肌は恋しい。
一度知ってしまった人の温もりは、空っぽになった自分にとって、必要不可欠なもののような気もしている。
というか…する。
誰かと愛し合いたい。
肌を重ねたい。
蕩ける時間を共有したい。
そして、果てた先に見る微睡みを感じたい。
それは、けして誰でもいいというわけではなくて…。
好きな人…惹かれている人……そう、彼にその欲求を解き放って貰えたら、と思う気持ちばかりが膨らむ。
「あー…マジでかんべん…ほんとに不満爆発しそー…」
そう思ってキーパンチし続けた指をコキコキと動かすと、私は自分と周りの分の飲み物を用意する為に、席を立った。
お茶汲みは、本当は私達の本業じゃない。
飲みたい人が飲みたい時に、用意すればいいのだけれど、今日は気分転換も兼ねて給湯室に向かうことにした。
丁度午後のコーヒーブレイクだ。
自分の課はみんな揃いも揃ってコーヒー党、なので自分の一杯を入れるのも他の人の分を入れるのも然程苦ではないから、私はコーヒーメーカーの前に立ち、ぼーっとしながらドリップされていく様を眺めていた。