ようこそ異世界レストランへ~食材召喚スキルで竜騎士とモフモフ手懐けます~
屋台とワインガーデン、恋の花火が弾ける
◇◇◇
ケイシーのおにぎり屋が軌道に乗り、ミーナが連日様子を見にいかなくてもよくなった頃。
ランチタイムを過ぎた時刻に、ミーナは両親と兄の四人でルーブルを出て、通りを北へ歩いている。
四人ともお出かけ用のちょっといい装いをしているのは、この街、バルバストルの領主の館に向かっているからだ。
「伯爵様が急に呼び出すなんて、私たち、なにかしたかしら?」
心配そうに問いかけたのはアマンダで、それに対してジモンが笑って答える。
「わしらは真っ当に商いをしているのだから、恐れることはない。それに、呼び出し状の文面は、楽しげな感じだったぞ。マンチェスター伯爵はご機嫌なようだ」
不安げなアマンダと、楽観的なジモン。
そんな両親の後ろをついていくミーナは、隣を歩くザックに素朴な疑問を投げかける。
「この街は伯爵様が治めているのね。どんな方なの? お兄ちゃんは会ったことがある?」
「それも覚えていないのか……」
ザックは妹が記憶喪失であると変わらず信じており、死の呪いをかけられた日以前の記憶を少しも取り戻さないことに嘆息する。
けれども、以前の怠け者で性悪だった妹より、今の方が好きなようで、嫌な顔せずに教えてくれた。
ケイシーのおにぎり屋が軌道に乗り、ミーナが連日様子を見にいかなくてもよくなった頃。
ランチタイムを過ぎた時刻に、ミーナは両親と兄の四人でルーブルを出て、通りを北へ歩いている。
四人ともお出かけ用のちょっといい装いをしているのは、この街、バルバストルの領主の館に向かっているからだ。
「伯爵様が急に呼び出すなんて、私たち、なにかしたかしら?」
心配そうに問いかけたのはアマンダで、それに対してジモンが笑って答える。
「わしらは真っ当に商いをしているのだから、恐れることはない。それに、呼び出し状の文面は、楽しげな感じだったぞ。マンチェスター伯爵はご機嫌なようだ」
不安げなアマンダと、楽観的なジモン。
そんな両親の後ろをついていくミーナは、隣を歩くザックに素朴な疑問を投げかける。
「この街は伯爵様が治めているのね。どんな方なの? お兄ちゃんは会ったことがある?」
「それも覚えていないのか……」
ザックは妹が記憶喪失であると変わらず信じており、死の呪いをかけられた日以前の記憶を少しも取り戻さないことに嘆息する。
けれども、以前の怠け者で性悪だった妹より、今の方が好きなようで、嫌な顔せずに教えてくれた。