ようこそ異世界レストランへ~食材召喚スキルで竜騎士とモフモフ手懐けます~
寂しかったレストランのメニューは、今や三十種類ほどにまで増えている。

カレーライスやハンバーグ、ピザにグラタン、スパゲッティが五種類に、餃子と麻婆豆腐とエビのチリソースなどだ。

洋食と中華料理が多く、和食はまだ、ご飯と味噌汁を付けた生姜焼きやトンカツ、焼き魚定食くらいしかメニューにない。

調理人たちはミーナのレシピを一生懸命に学んで、指示通りに作ってくれるけれど、和食の微妙な味つけを覚えるのは難しいようである。


(これまで出汁という概念がなかったのだから、仕方ないよね。でも、もう少し和食メニューを増やしたい。コックの皆さんが作りやすくて、お客さんにも受け入れられやすそうな和食を考えないと……)


「お好み焼き、タコ焼き、磯辺揚げ?」


コック長は聞いたことのない料理名に首を傾げているが、青のりを手に思案しているミーナに、彼の疑問は届いていない。

その時、厨房入口からジモンが入ってきた。


「ミーナ、竜騎士団の皆さんがお見えになっているぞ。手が空いたら来てほしいと言われたが、どうだ?」

「お父さん、大丈夫ですよ。ご挨拶してきますね」


竜騎士団のライアス、マッキオ、エルネ、ジャンポールの四人組は、すっかりレストラン・ルーブルの常連となっている。

湾岸警備の任務に入る前後に立ち寄ることを、楽しみとしているらしい。

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