ようこそ異世界レストランへ～食材召喚スキルで竜騎士とモフモフ手懐けます～

「いや、あるぞ。百二年前にこの世に生を受けてから、わしは野菜しか食ったことがない。他にわしが食えそうなものがあれば、出してほしい」

「百二歳なんですか……」


まずはそのことに驚いてから、ミーナは真面目に思案する。

ハムスターの餌といえば、ひまわりの種というイメージだ。

「この世界に、ひまわりという花は咲いていますか？」と彼女が問えば、四人全員が一斉に首を横に振った。


ないのならば、召喚するしかない。

そう思って頷いたミーナは、胸の前で指を組み合わせて祈り始める。


「ひまわりの種が欲しいです。お願いします」

《食材しょ……え、これって食材？》


脳内に響くいつもの少女の声に戸惑いが感じられたが、《食べられるから、一応食材に入れておくか》と許可してもらえた。

《食材召喚！》という声の後には、ミーナのエプロンのポケットから、両手大の緑色の箱がポンと飛び出す。

それには、“ハムスター用大粒ひまわりの種、四百グラム、カナダ産”と書かれており、三百五十円の値札が貼られていた。