ようこそ異世界レストランへ~食材召喚スキルで竜騎士とモフモフ手懐けます~
(思ったより高いのね。青のりと合わせて九百九十二円だから、今日はもう召喚できないわ……)


それを寂しく感じたミーナだが、ジャンポールの目が輝いているのを見ると、召喚してよかったという気持ちになれた。

パンを食べ終えた後の小皿に、箱の中身を出してこんもりと盛る。


「ひまわりの種ですよ。殻を割って中の白い部分をお召し上がり……説明不要のようですね」


本能的なものなのか、ジャンポールは説明を待たずして、殻を割って中身を頬張っている。


「なんたる美味。この世にこんな食べ物があったとは驚きじゃ!」

「喜んでもらえて、私も嬉しいです」


ジャンポールとミーナの会話を、クスクスと笑いながら聞いていたエルネは、「初めて目の前で見せてもらったけど……」と、食材召喚について話しだす。


「印を切らず、詠唱も省いて召喚させるのはとても難しいのよ。ミーナさんは魔術の才能があるのね。自然にやってのけるとは、素晴らしいわ」

「そうなんですか? 私はただ、欲しいものを思い浮かべて、お願いしているだけなんですけど……」


魔術の才能を評価されても、ミーナはピンときていない。

竜騎士団のように戦闘用の魔術や、治癒魔導師のような治療向けのもの、黒魔導師の呪いなどは、練習してもできない気がする。

ミーナが自由に扱えるのは、上限金額付きの食材召喚能力のみ。

それはこの世界に彼女を送った、神様からの素敵なプレゼントだと思っていた。


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