ようこそ異世界レストランへ~食材召喚スキルで竜騎士とモフモフ手懐けます~
竜騎士団は四、五人のパーティーを組んで任務に当たっているそうで、彼はライアスたちと別の班に所属しているようだ。

ライアスたちと交代で警備に当たっていた最中に、海上で逃げ惑う漁船を見つけたらしい。

漁船がなにから逃げていたのかというと、タコである。

誤ってタコの巣をつついてしまったそうで、怒らせて追い回されているという話であった。


(一大事のように話しているけど……タコ?)


ミーナの頭に浮かぶのは、前世でよく通っていた魚屋で、店主のおじさんが真ダコを指差し、『安くしとくよ』と言っている光景である。

ミーナが知っているタコとは、食べ物であり、漁船を襲ってくることはない。


不思議に思っている彼女とは違い、ライアスたちは深刻そうな顔をしている。

「行くぞ」とライアスが険しい声をかければ、全員がすぐさま立ち上がった。


「ミーナちゃん、ごめん。俺っちたちタコ退治に行ってくるから、今日のお代はツケといて。次回にまとめ払いするよ」


いつも軟派な態度のマッキオも、今は凛々しい顔つきになっている。

頬袋を膨らませたままのジャンポールがライアスの腕を伝って肩にのり、竜騎士たちはレストランの外へと飛び出していった。


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