この空の下
「先生、ほらピアノの演奏が始まりますよ」

ステージを指さす。

「ピアノ?」

「ええ。地元出身のピアニストだそうです。綺麗な人ですね」

地元出身のピアニスト。

綺麗な人。


思い浮かぶのは1人。



「彩葉・・・」

隆哉さんの口からこぼれた言葉が、

私には聞こえてしまった。


今、隆哉さんの視界に私はいない。


ただ真っ直ぐに、彩葉さんに見入っていた。
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