この空の下
「あのね、あの子は医者だった主人の性格を継いでしまって凄く潔癖なの。人が手を付けたものなんて食べないし。自分の部屋に人を入れるのもイヤ。車にもあまり乗せたがらない。ましてやベットにって、ありえないのよ」

「はあ」

理事長の言いたいことは分かった。

でも、私の知っている隆哉さんとは大分違う。


「大人になって変わったんじゃないですか?」

人は誰でも小さい頃のままじゃないから。

少しずつ社会に適応していくもの。


「じゃあ、パーティーの件は?」

ああ。

それは・・・


「あんな公の席で、騒ぎを起こすような子じゃないのよ」

「・・・すみません」


「なぜ、あなたが謝るの?まず、事情を説明してちょうだい」


真っ直ぐに見つめられ、何も言わない訳にはいかない。
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