この空の下
「あの・・・彼、永澤空さんとは長く付き合っていたんです。色々あって別れましたが、パーティーで親しげに近づいてきて。絡まれそうになった私を隆哉さんが助けてくれました。ご迷惑をかけて申し訳ありません」

素直に頭を下げた。


「まあ、お酒の席だから仕方ないけれど。それにしてもなんで隆哉が助けたのかしら?自分以外には興味のない子なのに」

理事長の中で隆哉さんはどんなイメージが出来上がっているんだろう。

それとも、私に見せる顔と母親に見せる顔は違うんだろうか。



「きっと、それだけここを閉めたくないんじゃないですか?」

ポロッと口にしてしまった。


「そんなことまで話したの?」

ええ?

言ってはいけなかった?


「確かに、ここを閉めたい人は多いのよ。赤字を生むだけだから。隆哉がここを残したがっているのも知ってるわ。でも、それは口にしないはず。今の予算できてくれる医師がいなくなれば、閉院するっていうのはグループとしての決定事項だから。それを・・・あなたに話したのね」

「いや・・・その・・・酔った勢いで、言い合いになって・・・言わせてしまったんです」


必死でフォローしようとしたけれど、
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