この空の下
「そう言えば、隆哉さんて潔癖なんですってね」

「はあ?」


いきなり何を聞くんだって顔をしてる。


「理事長から聞いたのよ。ベットに他人を入れるなんてありえないって」

フン。

ちょっと皮肉っぽく笑って見せる。



「何で泊めてくれたの?」

「・・・」

苦い顔。



フフフ。

ちょっとかわいいな。

普段はあまり思わないけれど、やっぱり年下だわ。


私は冷めてしまった紅茶を流し込んで、隆哉さんの方を真っ直ぐに見た。


「ねえ」

「ん?」

なんだよ面倒くさいなあって、聞こえてくるような表情。


「結局、私は女じゃないのよ」

「はあ?」

「私はあなたの中で女にカウントされていないの。だから部屋に入っても平気だし、彼氏のフリもできた。彩葉さんにも、ただ友達を助けただけだと説明すれば良いんじゃない」


「友達ねえ」

「違うの?」

「イヤ・・・」


今日の隆哉さんは本当に歯切れが悪い。

よく見れば、顔色だって冴えない。
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