この空の下
近くのカフェに行こうかとも思ったけれど、私はコーヒーと紅茶でおなか一杯。

仕方なく、私の車に乗り込んだ。



「汚くしててごめんなさい」

「いえ」

言いながらも、彩葉さんの視線がキョロキョロと動いている。


「中古で買った古い車なの。恥ずかしいわ」

「ジロジロ見てすみません。それにしても、さっぱりした車ですね」


さっぱりした車。

それは物がなくて殺風景って事だと思う。


「男っぽいでしょ?よく言われる。物を置くのが嫌いなの」

「へえ」


「だから、隆哉さんとも性別抜きで友人の1人。パーティーでは一緒にいたけれど、それだけ。心配の必要は無いわ」

「そうですか」


納得したのかどうか、彩葉さんは反論しなかった。
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