この空の下
「羽蘭。悪い事は言わないから、こいつとは別れろ。仕事がないなら紹介するから」

はぁー。

だから、それが迷惑なのが分からないんだろうか。



「あなたこそ羽蘭から手を引いてください」

挑発的な態度は隆哉さんも負けていない。


「お前は黙ってろ。大体、お前が羽蘭の何を知っているって言うんだ。何も知らないくせに余計な口を出すな」

空も本気で怒ってる。


「知ってますよ。彼女は人一倍涙もろくて、すぐ泣くし、酔っ払うし、キレると支離滅裂になって、誰かが守ってやらないと何をしでかすか分からない」



「はあ?お前誰のことを言ってるの?羽蘭は強くて、しっかり者で、迷っている俺を叱り飛ばして背中を押してくれるような、男前な女だよ」


フッ。

空の言葉を聞いて、隆哉さんが不敵に笑った。


「それはあなたがそうさせたんです。あなた自身が羽蘭に強くいることをもとめたんです。実際の羽蘭とは違います」


2人の間で火花が散っていた。

その間にもグラスはドンドン空いていく。

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