この空の下
「朝、目が覚めたら帰ってもらいます」

「泊めるのか?」


コクン。と頷いた。



隆哉さんが呆れたように見ている。

「俺はダメだけれど、こいつは泊めるのか?」


私は黙ってしまった。


「なあ、答えろよ。お前はこいつと別れたいんじゃないのか?すべてをリセットしてここに来たんじゃなかったのか?」


確かに、もう空には関わらないと決めた。

今でもその気持ちに変わりはない。

でも、


「お願い帰ってください」

もう一度口にした。


「それが答えか?この男に未練があるのか?」


口を開いたら涙が溢れそうで、私はブルブルと首を振った。


「女はみんな一緒だな。結局長く付き合った男に戻る」


そんなことはないと言いたくて、でも言えない。
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