この空の下
「哉・・・ねえ、隆哉」


「ああ、ごめん」

考え事をしていて、彩葉の声に気付かなかった。


「仕事、忙しいの?」


カウンター越しに顔を覗かせる彩葉。


「年末に向けて行事も多いから。暇ではないな」

「そう」

彩葉は俯いた。


「何、どうしたの?」

「あのね、私仕事を始めようと思うの」


仕事。

そんなに簡単に見つかるだろうか。

ここに彩葉のピアノの腕を生かせる仕事があるとは思えない。
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