この空の下
「ピアノ教室を開こうと思うの」

えっ。

「何で?」


「隆哉は反対?」

いや、そう言う問題じゃない。


「お前はピアニストになりたくてフランスに行ったんだよな?」

「そうだけど・・・ここには仕事がないから」

「で、ピアノ教室?」

「仕方ないじゃない。いつまでもこのままって訳にはいかないし」


俺は持っていたコーヒーカップをカウンターに置いた。



「なあ彩葉。俺たち何のために別れたんだ?」

ピアノ教室を開くためにフランスへ行ったわけじゃないだろう。


「仕方ないじゃない。ピアニストとして仕事をするならここには住めない。私は隆哉と一緒にいたいのよ」
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