この空の下
「勝手にしろ」

気がついたらそんな言葉が口から出ていた。



俺が彩葉を忘れるためにどんな思いをしてきたのか、分かっているんだろうか。

突然彩葉が消えてしまった喪失感を抱えたまま、俺は社会に放り出された。

苦しくて叫びたい時に、お前はいなかった。

それを今更、


「私は、隆哉に食べさせてもらって、住ませてもらって、自分では何もできないのが辛いのよ」


はあー。

俺は溜息をついてしまった。


それを見て、泣き出す彩葉。


やっぱり彼女とは違うなあ。
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