この空の下
「実はね、まだ社会に出たばかりの頃に飲み会の席で随分飲まされたんだ。当時はまだ自分の限界も分からなくて、どうやって家に帰ったのか記憶がない。何とか帰ってきた俺を妻が介抱してくれた。そして、家に帰った安堵感で倒れ込んだ俺は玄関先で赤い物を吐いたらしい」
「えっ、吐血ですか?」
「うーん」
恥ずかしそうな吉川さん。
「それがね、その日は赤ワインをしこたま飲まされたらしくて」
「はあ?」
赤ワインの嘔吐と吐血を間違えたと?
そんなバカな。
「言い訳するようだけど、悪いのは俺じゃない。妻が勝手に救急車を呼んだんだ」
救急搬送。
それは恥ずかしい。
「本当に、薬剤師のくせにあわてんぼうな奴だった」
なんだか遠くを見る目。
それも吉川さんにとっては奥さんとの思い出なのね。
「えっ、吐血ですか?」
「うーん」
恥ずかしそうな吉川さん。
「それがね、その日は赤ワインをしこたま飲まされたらしくて」
「はあ?」
赤ワインの嘔吐と吐血を間違えたと?
そんなバカな。
「言い訳するようだけど、悪いのは俺じゃない。妻が勝手に救急車を呼んだんだ」
救急搬送。
それは恥ずかしい。
「本当に、薬剤師のくせにあわてんぼうな奴だった」
なんだか遠くを見る目。
それも吉川さんにとっては奥さんとの思い出なのね。