この空の下
「結局、いい思い出も悪い思い出もひっくるめて自分で受け止めていくしかないんだ」

「はい」


吉川さんは私なんかよりよっぽど深い傷を心に持っている。


突然の病気で失ってしまった奥様。

それでも日向ちゃんと生きていかなくてはいけない現実。


空のことでウダウダ言っている私の比じゃない。


「そんな顔しないで。僕は自分を不幸だとは思ってないよ。もちろん妻を失ったのは辛い経験だったけれど、幸い健康でかわいい娘を残してくれた。男1人でどうやって育てようと思っていたら実家の両親が手をさしのべてくれた。環境の変化に戸惑っている日向に困ったなあと思っていたら、君が現れた。ある意味僕は幸せ者だ」


そんな風に考えられる吉川さんは本当に凄いと思う。


「だから、君との出会いも運命だと思っているんだ」

え?

吉川さん?

この話の流れって、
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