この空の下
「じゃあ、お役に立てそうもないから帰るわ」

結局イスに座ることもなく、羽蘭は帰ろうとする。



その時、なぜか裕司さんのメールを思い出した。

ワインの入ったグラスを持ちながら、嬉しそうに酔っ払っていた羽蘭。


あの顔を誰にでも見せるのか。

そう思うと黙っていられなかった。



「今日もデートか?忙しいことだなあ」


「どういう意味よ。それに、あなたには関係ないことでしょう」


関係ないねえ。


「1度は寝た女だからな、誰とでもやってると思うと気分が悪い」


俺はとんでもないことを言ってしまった。

きっと色々ありすぎて、弱っていたんだ。

さすがに、羽蘭に謝ろう。

そう思った。
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