この空の下
私は隆哉さんが話し出すのを待つことにした。





「今日、俺は羽蘭に酷いことを言ってしまった。そのことを謝りたくて、ここに来たんだ」

「・・・」

「本当に悪かった。ごめん」


こんなにしおらしい隆哉さんを初めて見た。

実際に目にしたわけではないけれど。


「気にしないでいいのよ。2人の間のことだし、怒っていてつい出た言葉だって分かっているから」


それは本当。

いくら酷い言葉でも、隆哉さんの本心でないのは分かった。


でも、

「悪いけれど、叩いたことは謝らないわよ」


あれは暴走した気持ちを止めるためだったから。


「ああ、分かってる」
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