この空の下
玄関まで行き、もう一度振り返った。


隆哉さんの悲しそうな顔。



「まるで、失恋したよう顔をしているわよ」

また余計なことを口走ってしまった。


「馬鹿野郎」

憎々しげに言う。


でも今更、話しをむしかえす気はない。



「彩葉さんと、お幸せに」

「ああ」


私は診療所を後にした。
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