この空の下
支度をするからと空を車で待たせ、まずは吉川さんにメール。


『急な用事が入ってしまいました。夕食の約束は後日にしていただけませんか?本当にすみません』


後は簡単に化粧をして、服は・・・ジーンズにニット。

髪だって無造作に結んだだけ。

今更空におしゃれする必要は無い。



ブブブ。

ん?

吉川さんからの着信。


「もしもし」

『どうしたの?何かあったの?』

「いえ、たいしたことではないんです」

『もしかして、隆哉?』

「違います。元彼です。話があるみたいで」

『・・・』


一瞬の沈黙の後、


『それって、ストーカー気味の彼?』

「まあ」

『大丈夫なの?』

「ええ。彼も医者ですし、無茶はしません」

『ならいいけれど、なるべく人の多いところで会うんだよ』

「はい」



本当に大丈夫ですからと吉川さんを説得して、やっと電話を切った。
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