この空の下
「そうだ日向ちゃん。先生も最近ここに来たばかりなの。週末に街を見て回ろうと思っているんだけど、日向ちゃんも一緒に行く?港を上がったところには公園もあるらしいわよ」


「そうそう。ウサギやワラビーもいて、大きな滑り台もあるのよ」

多恵さんの一言に、日向ちゃんお顔が明るくなった。


「行こうか?」

「・・・」

コクンと頷いた。



「いいんですか?」

心配そうなお父さん。

「ええ。どうせ1人でも行くつもりでしたから」


それは嘘ではない。

赴任して1ヶ月。

そろそろ街に出てみたいと思っていた。



「天気が良かったら、外でご飯を食べましょう。ね?」

この時始めて日向ちゃんが笑顔を見せた。


「私がお弁当を作りますよ」

と、多恵さん。


日向ちゃんは白衣から手を離し、お父さんを見上げている。


「良かったな。それまで一杯ご飯を食べて、保育園でお友達と仲良くしてないと連れて行かないからね」

「はい」


やっと声を聞けた。

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