この空の下
「先生、お刺身どうぞ。修さんが持ってきた魚です」

「ありがとうございます。いただきます」


お昼休み、多恵さんが用意してくれた昼食。


「んー、美味しい」

懐かしくて、うるっとしてしまった。


「もう2度と出ていかないでくださいよ」

え?

多恵さんを見つめた。


「彩葉ちゃん、隆哉さんのマンションを出てもフランスには帰らずに隣町の音楽教室でピアノを教えているそうじゃないですか」

「はあ」

確かにそう聞いている。

「早く隆哉さんと一緒になってしまわないと、またどんな邪魔が入るか分かりませんよ」

邪魔って、

多恵さんはきっと、彩葉さんが原因で隆哉との関係がこじれて私が出ていったと思っているんだ。
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