この空の下
「ねえ羽蘭。その指輪って高そうだね」

「え?」


気になっていた。

右手薬指にはめられたリング。

派手ではないけれど、大きめのダイヤが入ったプラチナのリング。


「これ?空のプレゼント。大学卒業の時、ご褒美にって買ってくれたの。普段は空から物をもらうのは嫌だったけれど、これは特別。2人とも本当に頑張ったから」

「へー」

そんなに大事な物ならしまっておけよって言いたくて、言えなかった。

ヤバイ、俺は嫉妬深いのかもしれない。



「ねえ、チーズとトマトがあるから、何かおつまみ作ろうか?」

台所を見回しながら、羽蘭はまだ何か作ろうとしている。


「いいよ。パスタで十分」

「そう?」

不思議そうに振り返る。
< 287 / 405 >

この作品をシェア

pagetop