この空の下
「先生お先に失礼しますね」

何も知らない多恵さんは仕事を終えて帰っていく。


私もカルテを片付けると帰り支度を始めた。


きっと料理もしていないだろうから、下準備をしておいたミートローフと多恵さんが持たせてくれた煮物を袋に詰めて隆哉のマンションに向かった。


隆哉に会うのはいつぶりだろう。

メールで連絡はとっていても、実際に会うのは久しぶり。


文句を言うつもりはないけれどなんだか寂しい。


こんなこと多恵さんの前で言ったら「だから早く結婚しなさい」って言われてしまう。

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