この空の下
ピンポーン。

「はーい」


すでに隆哉は帰っていたようで、チャイムを鳴らすとすぐに返事があった。


「こんにちは。お久しぶり」

「ああ」

少し疲れた印象の隆哉。


「大丈夫なの?」

「ああ」




とりあえず座ろうとリビングに通され、ソファーに腰を下ろす。


「で、話があるんでしょ」

「ああ」


言ったきり隆哉はまた黙り込んでしまった。



「どうしたの、彩葉さんの事でしょ?」

大体予想がついている。



「実は、彩葉が来週退院になる」

「うん、聞いている。それで?」


「彩葉をフランスへ帰してやろうと思う」

フランス?

正直驚いた。
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