この空の下
「羽蘭は反対?」

真っ直ぐに私を見ている。

「反対」

「どうしても?」

私はうなずいた。


「彼女がそうして欲しいって言ってるの?」

もしそうなら、随分都合のいい話だと思う。


「言いだしたのは俺だ。彩葉もそれを望んでいる」

そんな・・・

「フランスに行って2人でやり直したいとでも思っているんじゃないの」

ついきつい言葉が出てしまった。


「羽蘭・・・」

隆哉が困っている。


私だって、年上らしく物わかりのいい彼女でいてあげたいと思う。

でも、無理だよ。



それからしばらく、重たい空気が流れた。

隆哉も私も黙ったまま。

ただソファーに座り続けた。
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