この空の下
廊下の先にある小さな個室。
母は今日もそこに座っていた。
「林田さん。娘さんが、羽蘭ちゃんが見えましたよ」
看護師の声でチラリとこちらを振り向いた母。
ずっと部屋の中にいるせいか、肌は真っ白で髪も白髪に覆われている。
「母さん」
名前を呼ぶと私の方に視線が来た。
しかしそれだけ。
母の視線は私の周りをさまよう。
「ほら羽蘭ちゃんよ。わかる?」
「はい」
小さく返事をするけれど、きっとわかってはいないだろう。
私が母に最後に名前を呼んでもらったのは、まだ小学生の頃だった。
病気だとはわかっているけれど・・・
母は今日もそこに座っていた。
「林田さん。娘さんが、羽蘭ちゃんが見えましたよ」
看護師の声でチラリとこちらを振り向いた母。
ずっと部屋の中にいるせいか、肌は真っ白で髪も白髪に覆われている。
「母さん」
名前を呼ぶと私の方に視線が来た。
しかしそれだけ。
母の視線は私の周りをさまよう。
「ほら羽蘭ちゃんよ。わかる?」
「はい」
小さく返事をするけれど、きっとわかってはいないだろう。
私が母に最後に名前を呼んでもらったのは、まだ小学生の頃だった。
病気だとはわかっているけれど・・・