この空の下
母さんの病院からの帰り道。

なぜか、赤ちゃんを産むとか生まないとかの迷いは消えていた。

最初から中絶なんて考えてはいなかったけれど、素直に受け入れられない気持ちは少なからずあった。

母に会って、その思いが消えた。

これも私が受け入れるべき人生なんだと思えた。


幸い、私には生きていくに困らない仕事がある。

まだ借金だらけだけれど、子供1人くらいは食べさせられる。

たとえこのまま隆哉に忘れ去られたとしても、生きてはいける。


すでに1ヶ月以上連絡のない隆哉。

恋しい気持ちは変わらないけれど、しがみつくような女にはなりたくない。



変わらない風景の長い田舎道を車で走りながら、私は母になる決心をした。
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