この空の下
午後7時。

いつものホテルの変わらないカウンター席。


ここに来るのも久しぶり。

私は空より一足先に店に着いた。


「マスター、私アルコールは控えているので」

そう言うと、

「かしこまりました」


スーッと、いつもとは違うグラスを出してくれた。



「羽蘭。お待たせ」

そんなに待たされてもいないけれど、空の登場。


「久しぶりね」

「ああ」


ちょっと大人っぽくなった印象。

そう言えば、先月結婚式だったと聞いた。


「麗子さん、元気?」

「ああ」


以前この店から麗子さんい電話をした後、私はすべてを告白した。

学生時代から空と付き合っていたときいて少し驚いた様子だったけれど、「話してくださってありがとうございます」とお礼を言われた。

本当に、空にはもったいないできた奥さんよ。
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