この空の下
「さあ、どうしよう。アクシデントのせいで、夕飯どころではなくなったね」

キョロキョロとあたりを見渡す吉川さん。


「どこでもいいですよ」


日向ちゃんも元気がないままだし、近くですませたらいい。


「駅の方に向かってみようか」

「はい」



そう言って歩きだしたその時、


あ、あああ。


急におなかが痛くなった。


今までに感じたことのない張りと腹痛。


マズイ。

何かが起きている。



「先生、どうしたの?」

吉川さんも駆け寄る。


「何か、おなかが」

医者のくせに上手く伝えられない。


その上、

目眩がしてきた。



「生、・・・先生」

遠くの方で吉川さんの声を聞きながら、私は意識を失ってしまった。
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