この空の下
「いつ帰ったの?」

「今日の昼の便で」

「そう。疲れたんじゃない?」

「別に・・・」


会話が続かない。



「お前こそ、俺に言うことがあるんじゃないか?」

「うん」

ある。

あるけれど、



「あ、なんかトイレ行きたくなっちゃった」

この空気を誤魔化すように起き上がり、点滴を見た。

ん?

生食だけ。何か薬が入っているわけではなさそう。

勝手に点滴を止めて、後は抜針。


「何やってるの?」

「うん。点滴があると動きにくいから」

「だからって勝手に外すなよ」

「大丈夫よ。生食しか入ってないんだから」

「だからって、勝手に外すなっ」

怒鳴られた。


「大体、お前はここの医者か?違うだろう?今は患者なんだから、おとなしくしてろ」
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