この空の下
私はバラを受け取り、

立ち上がった隆哉の手が私の肩に乗る。


そして、唇を奪われた。


花束で手のふさがった私は抵抗するすべもなく、必死に息をするしかない。

しばらく翻弄され続け、やっと介抱された。




「相変わらず不器用だな」


フン。

上から目線に腹が立つ。


「誰と比べてるのよ」

「え?」

驚いたように私を見る隆哉。


「だってそうじゃない」

きっと彩葉さんはもっと器用だったんでしょうよ。


「かわいいね。嫉妬してくれるんだ」

イタズラっぽい顔。


「お互い様でしょ」


ククク。

おかしそうに笑われた。


「続きは家に帰ってからだな」

「はあ?」

「しっかり上書きして、俺仕様にしなくちゃな」


楽しみだなあなんて恐ろしいことを言いながら、隆哉は食事を再開させた。
< 390 / 405 >

この作品をシェア

pagetop