この空の下
食事の最後、隆哉が指輪を差し出した。



「ありがとう」

素直に嬉しかった。


空からもらったリングを外し、
新しいものをつける。


「素敵ね」

「ああ」






これから先きっといろんなことがあるだろう。

辛いことも悲しいこともあって、

泣きたい時も逃げ出したい時もあると思う。


でも忘れないでおこう。

今この瞬間私はとっても幸せで、

隆哉とお腹の赤ちゃんを愛している。



今まで憎んできた母さんのことも、

かわいそうな人だと思い続けてきたことも、

少しだけ理解できる。


きっと母さんも幸せだった。

歯車の掛け違いで悲しい人生になったけれど、

私を愛してくれていたんだと今は思える。


そう思わせてくれたのは隆哉。


これからもずっと愛していこう。



私はこうして隆哉と生きていくことを決めた。
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