この空の下
「お母さんも赤ちゃんも順調だね。腹囲は大きいけれど、赤ちゃんは標準。問題ないよ」

ホッ。
よかった。
みんなして脅すからドキドキしていた。

「仕事はまだしてるの?」
「ええ。代診の先生は来てくれるんですが、家にいると暇なので診療所に足が向くんです」

「良いから休めって言ってるんですけれどね。すぐに動き出すから」
ここぞとばかり話し出す隆哉。

「まあ無理はせずに。体調も良いみたいだから、気晴らし程度に動くと良いよ」
よかった。悠平先輩は働くことを認めてくれた。

「こんにちは」

んん?
聞き覚えのある声。

「あら、いらっしゃい」

そう言って優子先輩と話しているのは・・・やはり、空だった。

「どうしたの?」
診察室を出た私はつい聞いてしまった。

「昨日、生まれたんだよ」

「えっ、麗子さん?」

「ああ」
照れくさそうに返事をする空。

「おめでとうございます」
隆哉が先にお祝いを口にした。

「ありがとう」
「おめでとう。よかったわね」
「ああ」

とうとう空も親になるのね。
私ももうすぐだけど、なんだかか不思議な気分。
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