この空の下
私に隆哉、優子先輩までゾロゾロとクリニックの病棟に上がってきた。

「相変わらず綺麗ですね」
ハワイが大好きな優子先輩の趣味で南国風のインテリアに統一されている入院病棟。

明るくて開放的なホールを囲むように5つほどの病室がある。

「明るすぎて落ち着かないって人もいるんだけれどね」
経営者としての顔を覗かせた先輩に
「そんなことないですよ」
隆哉が口にした。

元々、心配性の隆哉は総合病院での出産を望んでいた。
検診はクリニックで受けてもお産は設備の整ったところでと主張した。
しかし、
母親学級でこのホールに足を踏み入れた日に入院の予約をしてしまった。
それだけ素敵な病棟。

「ほら、羽蘭行くわよ」
病棟に見とれていた私を優子先輩が呼ぶ。


トントン。

「はい」

中から、麗子さんの声がした。
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