この空の下
悔しい。

何でここまで言われないといけないんだろうか。



「オイ、泣くなよ。涙でグチャグチャの顔は酷いぞ」

えっ。

もしかして・・・


「あの時のスーツは捨てるしかなかったんだからな」

ニタリと、いかにも意地悪そうな顔。


覚えていたんだ。



私は隆哉さんの手からグラスを奪うと、一気にビールを飲み干した。


「マスター、ビールお変わり」

「もうやめておけ」

呆れられてる。


「うるさい。放っておいて。私がお酒を飲んで何が悪いのよ。吉川さんと飲みに行くのだって私の勝手じゃない」

「開き直る気?」

「はあ?」

声に出てしまった。


「別にあんたが誰と付き合おうと勝手だよ。ただ、仕事に持ち込まないでくれ。腰掛け気分で仕事をされても困るんだ」

上から目線で言われ、私の中でプチッと何かが切れた。
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