この空の下
でも違った。


バーのカウンターに座り、空は言った。


「俺、結婚することになりそうだ」

と、まるで人ごとみたいに。


はあ?

唖然とする私に、

「母さんに勧められて見合いをした」
と話した。


「で、私と別れようって話?」

私は冷たく言い放った。


「別に・・・俺は・・・」

言い淀む空。


全く意味が分からない。


「大体、私と付き合っているのにお見合いとかおかしいでしょう?」

「そうか?」

そうかって・・・


「一体、空はどうしたいの?」

「どうもしないよ。母さんがうるさくて見合いは断れなかった。でも、羽蘭とはこのままでいたい。この先なんて誰にも分からないんだから、しばらくこのままでいいじゃないか」

「このままって。二股かけるって事?」

「羽蘭。言葉が悪いよ。俺は羽蘭が好きだ。だから付き合いたい。ただそれだけだ」

悪びれもせずに言う空。


この様子では私は愛人にされそうなんですけれど・・・
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