この空の下
「困るんです。やっと見つけた診療所の先生なんです。変な噂が立つと本当に困るんです」


「・・・」

裕司さんは黙ってしまった。



少しの間俺の方を見ていたと思うと、

「恋愛は自由だよな」

と口にした。


そんなこと分かっている。


「実際、俺のところに電話をかけてきた奴がいるんです。『お前んとこの女医が吉川の息子と飲んでるぞ』ってね」

「だから羽蘭さんが途中で帰ったのかあ」

「そうです」

「お前が呼び出したんだな」

「まあ」


ふーん、と不思議そうな顔をされた。
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