この空の下
「珍しいな。他人に興味のない奴だと思っていたがな。彼女は特別か?」

「別に」


確かに、自分でもなぜわざわざ車を飛ばして文句を言いに来たのか分からない。

彼女のことが気にはなっているのも否定はしない。


「好きなのか?」

「えっ」

「嫉妬している彼氏に見えるけどな」


本当にイヤな人だ。

頭も切れて俺のことを知り尽くしている裕司さんに、嘘なんてつけるはずない。



「付き合っているのか?」

「まさか」

「好きなのか?」

「違います」


マズイ。

文句を言いに来たはずなのに、裕司さんのペースになっている。
< 59 / 405 >

この作品をシェア

pagetop