この空の下
領収書とおつりを受け取り診察室へ戻ろうとした空が、ふと私に近づいた。


「ここからアパートまでじゃ距離があって通勤大変だろう?」

小さな声で囁く。

「まあね」

あ、


「ふーん。アパートは変わってないのか」

ヤバイ。

こいつアパートに来る気だわ。


「携帯番号教えろ」

そう言って携帯を差し出す。


「イヤよ」

何で今更。

「いきなり連絡が取れなくなって、どれだけ心配したと思ってるんだ。いいから教えろ」

うーん。

困った。
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