この空の下

「この後血液検査で異常がないかを確認しますが、おそらく食事が摂れていないのが原因だと思います」

「はい」

淡々と驚く様子もなく話しを聞いている。

「私は婦人科でも精神科でもないので、拒食も生理不順も専門ではありません。大きな病気がないかを調べた上で、点滴をしたり一般的な処方をすることしかできません」


「分かっています。それで結構です」

「必用とあらば、専門医を紹介させてもらいいますね」

「はい。お願いします」



もうしばらく日本に留まる予定とのことで、こっちにいる間の診察を約束した。



「あの、森さんって・・・森大工さん家の彩葉ちゃん？」

多恵さんが野次馬根性を見せる。

「そうです。祖父ももう引退して父も亡くなったので、誰も大工はいませんけれど」

フフフと笑顔を見せた。


「隆哉さんと同級生だったわよね？」

「ええ」